雇用保険で『もらえる金額・日数』についての3つのポイントについて解説します。
・【受給資格決定】雇用保険を受給するには、
原則、離職日以前2年間に12か月以上の雇用保険の加入が必要です。
・【賃金日額・基本手当日額】雇用保険の金額は退職する直近の6か月の賃金で決まります。
・【所定給付日数】雇用保険の受け取れる日数は、雇用保険の加入期間と離職理由で決まります
動画解説について
雇用保険制度について動画で解説しています。
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雇用保険の受給資格の決定
雇用保険が受給できるか(受給資格決定という)は、
・原則、離職日以前2年間の間に、
『11日以上働いた月または80時間以上働いた月』が12か月以上
または、
・特定受給資格者または特定理由離職者(※)は、
離職日以前1年間の間に、『11日以上働いた月または80時間以上働いた月』が6ヶ月以上
※特定受給資格者というのは、会社都合退職、
特定理由離職者は、自己都合退職だけれどもやむを得ず退職したような場合です。
つまり、急に辞めなければならなくなった方への救済として『雇用保険6か月の加入』でOKということです。
離職理由について詳しくは『ハローワークの離職理由コード(離職票、雇用保険受給資格者証)』のページをご覧ください。
・離職日以前2年間の間に病休等がある場合、その期間分追加される。
・例 3か月病休の場合、2年+3か月の間に11日以上働いた月が12か月あるかどうかで判定
被保険者期間の計算方法
例えば退職日を4月15日とします。
下記のように4月15日から1か月ずつさかのぼって、離職日以前2年間に、11日以上働いた月が12個あれば受給資格があります。
賃金が支払われる日数のことを『賃金支払基礎日数』といいます。
月給制の場合は歴月と同じになります。
- 3/16~4/15賃金支払基礎日数30日 (1個目)
- 2/16~3/15賃金支払基礎日数28日(2個目)
- 1/16~2/15賃金支払基礎日数31日(3個目)
- 12/16~1/15賃金支払基礎日数31日(4個目)
- 11/16~12/15賃金支払基礎日数30日(5個目)
- 10/16~11/15賃金支払基礎日数31日(6個目)
- 9/16~10/15賃金支払基礎日数30日(7個目)
- 8/16~9/15賃金支払基礎日数31日(8個目)
- 7/16~8/15賃金支払基礎日数31日(9個目)
- 6/16~7/15賃金支払基礎日数30日(10個目)
- 5/16~6/15賃金支払基礎日数31日(11個目)
- 4/16~5/15賃金支払基礎日数30日(12個目)
アルバイト等の日給制の場合は下記のようになります。
11日以上ない月はカウントできないという事です。
1年以内には、12個カウントできないのですが、
離職日以前2年間の間だと無事12個カウントできるので、受給資格はあります。
- 3/16~4/15賃金支払基礎日数20日 (1個目)
- 2/16~3/15賃金支払基礎日数15日(2個目)
- 1/16~2/15賃金支払基礎日数10日(カウントできない)
- 12/16~1/15賃金支払基礎日数21日(3個目)
- 11/16~12/15賃金支払基礎日数12日(4個目)
- 10/16~11/15賃金支払基礎日数14日(5個目)
- 9/16~10/15賃金支払基礎日数20日(6個目)
- 8/16~9/15賃金支払基礎日数20日(7個目)
- 7/16~8/15賃金支払基礎日数11日(8個目)
- 6/16~7/15賃金支払基礎日数7日(カウントできない)
- 5/16~6/15賃金支払基礎日数16日(9個目)
- 4/16~5/15賃金支払基礎日数12日(10個目)
- 3/16~4/15賃金支払基礎日数20日(11個目)
- 2/16~3/15賃金支払基礎日数12日(12個目)
離職の日から1か月ごと、さかのぼります。
つまり、賃金締め日とは関係ないので、給与明細ではわかりません。
タイムカード(出勤簿)で確認することになります。
もらえる金額(賃金日額と基本手当日額)
基本手当日額とは
直近6か月の賃金で金額が決まります。
・賃金日額 :離職日以前の直近6か月の賃金を180で割った金額
・基本手当日額:賃金日額の50~80%の金額
実際に失業している日、1日に対してもらえる金額が
『基本手当日額』
です。
賃金の定義
賃金日額を計算するにあたっては、賃金に含まれるものと含まれないものがあります。
・休業手当、住宅手当、勤務地手当、通勤手当、宿直手当、単身赴任手当等
通勤手当を半年に一度もらっているような場合は、その金額を6で割って月額にします。
・臨時に支払われる賃金及び3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(例 夏・冬のボーナス)
・退職金、海外赴任手当、見舞金、有給の買上等
一般的な、夏・冬のボーナスは賃金日額には含まれません。
基本手当日額の早見表
基本手当日額はわかったんだけど50%~80%の詳細を教えてくれよ!
めんどくさい方のために早見表を作りました!
ご自身の年齢と直近6ヶ月のだいたいの月給を当てはめてみてください。
30歳未満
月の給与 | 賃金日額 | 基本手当日額 | 備考 |
---|---|---|---|
77,220 | 2,574 | 2,059 | |
100,000 | 3,333 | 2,666 | |
130,000 | 4,333 | 3,466 | |
160,000 | 5,333 | 4,200 | |
190,000 | 6,333 | 4,730 | |
220,000 | 7,333 | 5,178 | |
250,000 | 8,333 | 5,544 | |
280,000 | 9,333 | 5,829 | |
310,000 | 10,333 | 6,032 | |
340,000 | 11,333 | 6,154 | |
370,000 | 12,333 | 6,195 | |
400,000 | 13,333 | 6,666 | |
410,700 | 13,690 | 6,845 | ※30歳未満上限額 |
30歳以上45歳未満
月の給与 | 賃金日額 | 基本手当日額 | 備考 |
---|---|---|---|
77,220 | 2,574 | 2,059 | |
100,000 | 3,333 | 2,666 | |
130,000 | 4,333 | 3,466 | |
160,000 | 5,333 | 4,200 | |
190,000 | 6,333 | 4,730 | |
220,000 | 7,333 | 5,178 | |
250,000 | 8,333 | 5,544 | |
280,000 | 9,333 | 5,829 | |
310,000 | 10,333 | 6,032 | |
340,000 | 11,333 | 6,154 | |
370,000 | 12,333 | 6,195 | |
400,000 | 13,333 | 6,666 | |
430,000 | 14,333 | 7,166 | |
456,300 | 15,210 | 7,605 | ※30歳以上45歳未満上限額 |
45歳以上60歳未満
月の給与 | 賃金日額 | 基本手当日額 | 備考 |
---|---|---|---|
77,220 | 2,574 | 2,059 | |
100,000 | 3,333 | 2,666 | |
130,000 | 4,333 | 3,466 | |
160,000 | 5,333 | 4,200 | |
190,000 | 6,333 | 4,730 | |
220,000 | 7,333 | 5,178 | |
250,000 | 8,333 | 5,544 | |
280,000 | 9,333 | 5,829 | |
310,000 | 10,333 | 6,032 | |
340,000 | 11,333 | 6,154 | |
370,000 | 12,333 | 6,195 | |
400,000 | 13,333 | 6,666 | |
430,000 | 14,333 | 7,166 | |
460,000 | 15,333 | 7,666 | |
490,000 | 16,333 | 8,166 | |
502,200 | 16,740 | 8,370 | ※45歳以上60歳未満上限額 |
60歳以上65歳未満
月の給与 | 賃金日額 | 基本手当日額 | 備考 |
---|---|---|---|
77,220 | 2,574 | 2,059 | |
100,000 | 3,333 | 2,666 | |
130,000 | 4,333 | 3,466 | |
160,000 | 5,333 | 4,173 | |
190,000 | 6,333 | 4,593 | |
220,000 | 7333 | 4,822 | |
250,000 | 8,333 | 4,872 | |
280,000 | 9,333 | 4,922 | |
310,000 | 10,333 | 4,972 | |
340,000 | 11,333 | 5,099 | |
370,000 | 12,333 | 5,549 | |
400,000 | 13,333 | 5,999 | |
430,000 | 14,333 | 6,449 | |
460000 | 15,333 | 6,899 | |
479,100 | 15,970 | 7,186 | ※60歳以上65歳未満上限額 |
※65歳以上で離職した方は30歳未満の表になります。
詳細な計算(興味がある方向け)
こちらの説明は興味のある方向けです。
完全な賃金月で計算する
完全な賃金月とは、1か月まるまるあって賃金支払基礎日数が11日以上ある月のことです。
離職日以前の6か月とは完全な賃金月6か月という意味です。
例えば、賃金の締め日が毎月20日で、4月30日退職の場合
- 4/21~4/301か月ないので計算に入れない
- 3/21~4/20賃金支払基礎日数31日(完全な賃金月1)
- 2/21~3/20賃金支払基礎日数28日(完全な賃金月2)
- 1/21~2/20賃金支払基礎日数31日(完全な賃金月3)
- 12/21~1/20賃金支払基礎日数31日(完全な賃金月4)
- 11/21~12/20賃金支払基礎日数30日(完全な賃金月5)
- 10/21~11/20賃金支払基礎日数31日(完全な賃金月6)
日給制の場合
先ほどの早見表は月給制を想定していますが、日給制の場合、賃金日額の計算が異なります。
『(6か月の完全な賃金月の賃金総額)を(勤務日数で割った額)に0.7をかけた額』
と
『6か月の完全な賃金月の賃金総額を180で割った額』
を比較し、多い方の額が賃金日額になる。
ただし、一週間の所定労働時間が、その事業所での通常の労働者より短く、かつ30時間未満の勤務の場合、日給制ではなく月給制としての計算をする(6か月の賃金を180で割る)。
基本手当日額の詳細な計算式
賃金日額は『毎月勤労統計』の平均定期給与額によって決まり、毎年8月1日に見直されます。
令和2年8月1日現在の計算式
60歳未満
賃金日額(w) | 基本手当日額(y) |
---|---|
2,574円以上 5,030円未満 | y=0.8w |
5,030円以上 12,390円以下 | y=0.8w-0.3{(w-5030)/(12390-5030)}w |
12,390円超 16,740円以下(※年齢により上限あり) | y=0.5w |
※13,690円超(30歳未満の上限) | y=6,845 |
※15,210円超(30歳以上45歳未満の上限) | y=7,605 |
※16,740円超(45歳以上60歳未満の上限) | y=8,370 |
60歳以上65歳未満
賃金日額(w) | 基本手当日額(y) |
---|---|
2,574円以上 5,030円未満 | y=0.8w |
5,030円以上 12,390円以下 | y=0.8w-0.35{(w-5030)/(12390-5030)}w 又は y=0.05w+(11140×0.4) のいずれか低い方の額 |
11,140円超 15,970円以下 | y=0.45w |
15,970円超 | y=7,186 |
所定給付日数
雇用保険をもらえる日数のことを、所定給付日数といいます。
所定給付日数の決め方
所定給付日数は『雇用保険の加入日数』と『離職理由』で決まります。
この『雇用保険の加入日数』のことを『算定基礎期間』と言います。
具体的な所定給付日数については『ハローワークの離職理由コード(離職票、雇用保険受給資格者証)』のページをご覧ください。
算定基礎期間の数え方
算定基礎期間は、月の勤務が1日でも、10日でも、20日でも所定給付日数には関係ないです。
あくまで、『雇用保険の加入期間がどれだけあるか』だけが影響します。
・何社か勤めていても、前職と次の会社の雇用保険加入の間が1年未満であれば、算定基礎期間は通算されます。
・ただし、雇用保険(基本手当、再就職手当等)を『1円でも』もらってしまうと通算されません。
この『1円でも』というのがポイントで
『ハロワで離職票の提出だけして、その後全くハロワに行かないような場合』
雇用保険を『1円も』もらっていないことになります。
この場合、離職から1年未満の間に、再就職先で雇用保険に加入すると算定基礎期間は通算されます。
補足
この『1円でも』に『教育訓練給付金を利用したことがあるかどうか』は関係ありません。
その他の雇用保険の手続きについて
その他の雇用保険の手続きについては『雇用保険の全手続きのまとめ【金額は?計算方法は?いつからもらえる?会社都合?】』をご覧ください。